予防歯科
治療中心から予防中心へ
予防歯科では歯を失う主な原因のう蝕と歯周病の発症防止、お子さんが誤った口腔機能を身に付けないようにすること、高齢の方が口腔の機能が衰えていくこと(フレイル)への予防的なアプローチを通じて生涯健康で豊かな人生を送って頂くお手伝いをいたします。それを叶える手段がメディカルトリートメントモデル(MTM)です。
12歳児における日本人のむし歯保有数は予防歯科の先進国であるスウェーデンと比較すると約4倍となっていますが、その違いは予防歯科が定着していることです。 また、近年口腔の健康が心臓病や糖尿病などの全身疾患にも影響をおよぼしていることが分かっています。
歯科医院の役割
メディカルトリートメントモデル
甘いものが好き。歯ブラシが嫌い。
これらはむし歯、歯周病の原因と考えられがちですね。でもほんの一部に過ぎず、ほかにも沢山の原因があります。そしてその組み合わせは一人ひとり異なります。一人ひとり異なる原因を究明・改善し、発症予防、再発防止、機能回復と維持に努めるのがメディカルトリートメントモデルです。そして最新の科学的エビデンスに基づく最適な医療提供が、このメディカルトリートメントモデルを支えます。
あなたの原因を解明する
むし歯と歯周病を、発症する前の潜伏期、またはごく初期の病気のうちに発見し、予防処置をお受けになることで自分の歯を生涯健康に保つことができます。各種検査を受けていただきますが、特に唾液検査は、唾液を調べることでむし歯に対する抵抗力やむし歯の原因菌の量がわかります。むし歯のリスクや歯周病のリスクなどお口の健康度がわかれば、病気を防ぐことができます。
サリバテスト
サリバテストとは、個々の患者さんのむし歯や歯周病のリスクを把握するために、唾液を使って判定するテストのことです。
サリバテスト後
培養中
サリバテスト結果
サリバテスト結果表
歯周病原因菌検査(オルコア)
歯周病菌の中でも特に危険なポルフィロモナス・ジンジバリス(通称P.g.菌)を検出することができます。
スケーリング・ルートプレーニング
歯周病の原因は、むし歯と同じく歯の表面に付着したバイオフィルムの中で繁殖する細菌です。バイオフィルムは唾液中の栄養と結びついて石のように固い物質になります。これが歯石です。歯石の表面の凹凸に細菌が付着しやすく、歯ブラシの先が届かない凹凸の中で繁殖した細菌が歯周病の原因になります。そのため、バイオフィルムを破壊するだけではなく歯石の中の細菌も除去しなければ、歯周病の進行を止めることができません。
歯周病の原因となるバイオフィルムが増殖している場所は、歯と歯肉の間の歯周ポケットの中ですから、患者さんが歯ブラシしただけでは除去することはできません。 そのため歯周ポケットの中でバイオフィルムが歯石となって歯の根に付着するのです。 歯石となったバイオフィルムは強固に歯に付着しているため、スケーラーという専用の器具を使用して取り除くスケーリングをした後、歯の表面をツルツルに滑らかにしてバイオフィルムが付きにくくするルートプレーニングをおこなうことによって歯周病の進行のリスクを軽減することができます。
スケーリング
スケーリングとはスケーラー(あるいは超音波スケーラー)と呼ばれる金具を使って、歯肉縁上および歯肉縁下の歯面からプラーク(歯垢)、付着物、および歯石を除去することをいいます。
ルートプレーニング
ルートプレーニングとは、スケーリング終了後に、歯根表面の歯垢によって汚染・軟化したセメント質や象牙質を除去し歯根面を硬く滑沢な面に仕上げることをいいます。
ルート(歯根部)をプレーニング(平らに)することはとても重要であり、これがでこぼこのままだと歯根部のむし歯の原因になります。
PMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning)
PMTCというのは、歯科医や専門の歯科衛生士などが行うお口の清掃プログラムのことです。 これにより歯磨きなどでは取れにくい、悪い細菌の塊(バイオフィルム)を徹底的に落とします。 歯や歯肉の清掃を専門の器具を使って丁寧に行いますから、予防効果が高いだけでなく、とても気持ちがいいものです。痛みなどはまったくありません。
PMTCの流れ
体験してみよう プロによる歯みがき
1.歯や歯肉の状態をチェック 歯垢や歯石の付き具合、歯ぐきの状態などをチェックします。その方の状態にあった道具や研磨粒子などを選びます。染め出しなども場合に応じて行ないます。
2.歯と歯の間をきれいに 当院では、まずクイックジェットクリーナーを使用してステイン、歯垢、たばこのヤニなどを除去します。通常の方法で行うより約半分以下の時間で綺麗にクリーニングする事が出来ます。研磨剤と円錐形のゴムチップで歯と歯のあいだを磨いていきます。 歯肉のマッサージ効果も期待できます。
3.歯と歯肉の間、歯の表面をきれいに 歯の表面のでこぼこをなくすため、ゴムのカップ状の器具で磨きます。 研磨剤は、粒子の粗いものから使い細かくしていきます。
4.研磨剤の洗浄、フッ素ジェルの塗布 研磨剤を落とした後、知覚過敏やむし歯予防のためにフッ素を塗ります。
メインテナンスの目的
メインテナンスは、持続的なバイオフィルムの破壊と除去を行って治療によって回復された口腔内の健康な状態を維持させ、むし歯、歯周病の予防と口腔機能の評価・その回復を目的としています。 内容専門家が個人のリスクを見極め適切なアドバイスとバイオフィルムの管理を行います。全身状態の関与が考えられる方には内科等への受診もお願いすることになります 具体的には、歯周ポケット内の歯周病原菌であるグラム陰性菌群は、処置した後12~16週で、もとの細菌叢に戻る傾向があります。 そこで、細菌の量が悪影響を起こしだす前に、プロフェッショナルバイオフィルムコントロールを行って、歯周病の再発を予防する為に、その人の歯周環境に応じた、今後のメインテナンス・プログラムを決定します。
フッ素
歯科医院でのフッ素塗布
フッ素は、歯を硬く強くし、むし歯になりにくくするためのお薬です。 方法はフッ素を歯の表面に塗ります。フッ素塗布は定期的(年に3~4回)に塗布することが有効です。
当院でも、定期的なフッ素塗布を推奨しております。 歯科医院で使うフッ素は、安全量ですので、安心してお使いいただけます。 特に、歯が生えて間もないお子様のむし歯予防には非常に効果的です。 歯磨きとお薬の力を合わせて行くことで、よりむし歯になりづらい環境をつくっていきます。
歯みがき剤もフッ素入りのものを
歯みがき剤も、フッ素の入っているものを選ぶことで、日ごろからの歯質強化につながります。 当院でも、歯科医院専売の歯みがき剤をいくつか取り扱っております。 お帰りの際、ご相談ください。
プラークをコントロールする
むし歯と歯周病予防の中心は、原因であるプラークの増殖を抑制し、悪影響を及ぼさない程度にコントロールすることです。そのために患者さんによるホームケアとともに私たちでなければできない知識や器具を用いた、専門家によるプロケアが必要になります。
あなたの役割
自分の健康は自分で守りましょう
むし歯や歯周病は身体の抵抗力とのバランスが関連しているため、ホームケアを怠ると細菌の活動が活発になり、発症してしまいます。歯科の予防も成人病の予防と同じように、毎日実践して初めて効果があります。あなたの健康はあなた自身が守るという意識を大切にしてください。
定期的なメインテナンスを
家や車が定期的なメインテナンスによって美しく、長持ちするように、口腔内の健康についても同じことがいえます。プラークコントロールができているかを定期的に、診査・診断を受けることが大切です。お時間の確保のためにも、決められた来院日・予約時間・毎日のホームケアを守り、あなたの健康を増進してください。
歯周病とう蝕の健康管理ファイルより
定期メインテナンスのお約束
定期メインテナンスのお約束(次回来院日)を必ず守りましょう
メインテナンス・プログラムにそって次回のメインテナンスの日にちが指定されます。 この間隔は、基本的に3ヶ月とされていますが、再評価やパーソナルプラークコントロールの程度によって、短くなったり、徐々に延ばされたりします。 定期メインテナンスのお約束は、必ずお守りください。メインテナンスを定期的に行わないと、確実にむし歯、歯周病は進行してしまいます。